舞台が伝える“痛み”

しんせつスタジオスタッフが日頃思う自己表現についての考察や哲学っぽいことを徒然なるままに書いています。ダンス・ヨガ・映像制作、始めたい人、作ってみたい人、表現って何?と思う人はぜひ読んでみてください。

創作舞台「DeLeTe」身体表現を終えて

先日、身体表現のプロデュースを担当させていただいた、横浜市栄区での創作舞台「DeLeTe」の本番を終えました。

〜舞台概要〜
主人公はどこにでもいる女子高生。自分に自信のない彼女はいくつもの仮面(ペルソナ)を彼ることで理想の自分を演じていた。しかし、理想と現実のギャップに苦しみたまった鬱憤はある日、言葉の刃となり、味方であるはずの人々にまで向けられていく...

ペルソナを被ることで生きづらい社会を生き抜こうとする主人公を通して、誰にでも起こりうる「SNS問題」を題材にオムニバス形式の舞台を展開。芝居・合唱・群読・身体表現により構成された新しい形の表現創作舞台に、公募によって集まった中学生~20代の若者たちが挑む!



以下、ティーンズクリエーションに参加して後悔していること(大人のエゴを書き残します)。

自分の振り付けた本番をみて

ああ、私のってこんな作品だったのか

そして演出のミナコさんの言いたかったことは

これだったのか、と

 

最後になってわかって

文字通り胸が「いたく」なり

私は今すぐにでも身体表現を

作り直したくなった。

演出が本当に言いたかったことに

寄り添えなかったのではないかと

悔しくて

そして泣けてきた。

痛みってなんだろう

いたみ。痛み、イタミ。

「疒(ヤマイダレ)」と「甬(ヨウ)」

「体を突き抜けるような痛み」を意味する。

最古では古事記より登場しているらしい。

痛いはもしかして、居たい、かもしれないのでは、という私見はまた別に投ずるとして

 

今の私たちが忘れかけている身体感覚。

忌み嫌われている。

誰だって痛いことは嫌だ。

そして、痛みは、人と共有できない。

 

看護師だった頃、

疼痛スケールというものを用いていた。

患者さんに「1~10で、10が最も痛い

としたら今どれくらいですか?」

と問うもの。

その場で屈んでしまうくらい痛そうな人にも

「えっ、1〜10のどの辺ですかっ?」

って聞く看護師もいるから驚く。

「そんなのわからん!知るかよ!

いいから助けろよ!!」と

いう人もいたんだろうな。

 

動物も痛いのか、植物は?

痛みを可視化しようとすることに

なんの意味があるのか。

そもそもなぜ

痛みなんて存在するのだろう。

 

救いたいから、だと思う。

誰かを。

あなたの痛みはわからないけど、

私が痛かった頃のことはわかるから、って。

 

職場で、ある人に嫌われて、

どうして私が?という理不尽さで
(と思っていて)

全身痛みが走るような辛さの中

生きていた時があった。

 

その痛みは、のちに、

同じような思いで悩んでいる人を

救う行動につなげてくれた。 

痛みをスケールで示したわけではないけれど

私がその痛みを知らず、

のうのうと生きていたら

そうはならなかったかもしれない。

 

痛みを知る人は強くなれる。

痛みは誰かを救うために

残された身体感覚のひとつかもしれない。

痛みは絶対にその身体の一部を

意識し続けざるをえなくなる。

放っておきぱなしの

自分の内側にやっと意識が向く。

身体に焼き付くから、記憶に焼きつく。

 

しかし、自傷を推奨しているのはない。

友人が私の当時の状況を知らずして

 

「人生でうまくいかないときは

そういう勉強もしとけって

神様にでも言われているんだと

思うことにしてる−」と言い、

心が少し軽くなったのを覚えている。

痛みを知るときは必然にやってくる。

今回のDeLeTeの主人公のように、

もうどうしようもなく

大変なことになって

知ることになっていたとしても。

 

自ら傷つけるようなことは

決して、あってはいけない。

誰かの痛みをわかろうとするために、

みたいなあざといことも

しなくていい。

そんな傷では、痛みでは

人は救えない。

 

人間誰でも痛いのは嫌だ。

でも多分それは、その痛みが無意味な時だ。

痛みに意味を見出せたら、

身体感覚がまた変わってくるかもしれない。

ただ時間がめちゃくちゃにかかると思うけど。

舞台は五感を使って受け取る、創り手からの「手紙」

同質、同量の痛みをもつことは、

個体差のある私達にとって

あり得ないけれど、

どうせ同じことが通じないのなら、

 

観客それぞれに解釈の余白のあり、

本や映画と違って

生身の身体が人々の五感に訴えかけ

可視化する「舞台」というツールは

その 痛み を伝えるに最高である。

 

しかもまさに渦中の

ティーンズ、ワカモノ達が演じるなんて。

こんなに生々しくも、抽象化され

どの人間にもどすっと刺さる

舞台が過去にあるだろうか(反語)

 

ああーやっぱり、

読み込み足りなかったんだ。

もっと、また思うことも

表現に落とし込みたかった。

こういう欲が出るのは

表現者達が本当に素晴らしかったからだ。

コンチクショウ。

結局泣いたのだって

来週にはもうみんなに会えない・・・

って寂しがったからだろ

かっこつけましたバカヤロウ←

 

 

 

さっき

「痛みを知るときは必然にやってくる。」

と書いたけど、

近頃、それさえも痛みに思えない人間が

もしかしてちらほら

増えているかもしれない。

 

まさに文明進化の副反応

身体感覚の退化、人類の危機だ。

 

だから、今、とにかく

体が錆びないように

心が錆びないように

動かし、鍛えとかないと。

“一心同体”だから。

ワカモノたちよ、

今からまず身体を鍛えておきなさい。

大人のエゴや周りの恩着せに案ずることはない。

大人がワカモノたちを守るのは当たり前なんだから、

そんなのは背負わずどんどん前に進んでいって。

エゴだらけの大人が言うから説得力ないんだけど…


表現者であるワカモノたち、

スタッフさん

ヤマザキミナコさん

素敵な作品作りに

関わらせていただきありがとうございました。

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投稿者プロフィール

三浦桃実
三浦桃実
看護師、ダンスファシリテーター、ヨガファシリテーター、シネマトグラファー。しんせつスタジオ代表。神奈川総合高校にて創作ダンスに出会い、神奈川県立保健福祉大学にて親切ダンスカンパニーを設立。様々な領域や枠を越えたメンバーで、地域に繰り出し踊ってきた。ダンスを言語として捉え、自分の思いを自然な動きで伝えるダンスのスタイルを編んでいる最中。ヨガ指導資格をリブウェルインスティテュートにて取得し、Bowspringや親子ヨガ、スタイルアップヨガなど、毎回哲学的なテーマを織り込んだオリジナルのクラスを提供する。ダンスもヨガも、ユーザー(参加者)と作り上げるスタイルが定評。またシネマトグラファーとして、依頼主の作りたい世界観を築き創るコンセプトで動画制作を行っている。
ユーザーさんたちが、自分が昨日よりちょっとかっこよくなっていることに気づいてもらえるように、スキルを活かして日々邁進中。モットーは「地球規模で考え、地元で行動」「しんせつなひと」
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看護師、保健師、RYT(全米ヨガアライアンス)500、メディテーション(瞑想)講師、JCDN主催コミュニティダンスファシリテーター養成講座修了生