制限のという軸〜インプロって〜

しんせつスタジオスタッフが日頃思う自己表現についての考察や哲学っぽいことを徒然なるままに書いています。ダンス・ヨガ・映像制作、始めたい人、作ってみたい人、表現って何?と思う人はぜひ読んでみてください。

「そして宙に逢う」に出演して

2025年3月8日 祭山寸花さん演出「そして宙に逢う」に出演させていただきました。場所は、横須賀市文化会館のギャラリー。美術家 五島三子雄さんの作品展示の中、演劇、朗読、音楽の表現が漂い、私はダンス表現として参加させていただきました。

きっちーな…って

観に来ていただいたお客様からあとで「音楽がない中で、どうやって踊るの?」「その場で作っているの?」「どんなふうな気持ちで踊っているの?」と言われました。どんなふうと言われますと…きっちーなって思ってます(笑)

私は普段音楽からダンスを発想し、振り付けを作ることが多いです。ざっくり頭の中でミュージックビデオみたいに、映像を切り取るみたいに思い浮かんで、思い浮かんだその瞬間からもう体が動かされてる的な、細かい振り付けとかは後にして、まずはそのミュージックビデオを楽しんでいると言う感じ。だから、軸となるものがない状況だと、きついと言うよりはつまらないって言う感じでしょうか。自分がね!

しかも私は自分の出番直前になると、トイレに行きたくなると言う謎の体質なので、トイレ行きたい、動いてないとやばい!なので動き続けているのです(苦)無我夢中で動いて後で何も覚えてないほど没頭できる(ゾーンにはいる、とか言う)とめっちゃアーティスティックでかっこいいけれど、私は案外そうでもなく、ちゃんと空間と距離感と図りながら踊っています。どちらが良い悪いではないけれど、美術作品があるのでね、あんまり没頭するわけにいかないです。壊しちゃ大変!

以上のような答えを言ったら、ちょっと聞きたくなかったって感じかもしれないけど、では今回の「どうやって」は結局どうやったのかというと↓

ストーリーを頭に描く

頭の中にストーリーを描いてみるのです。例えば今回は五島さんの造形作品を目の前に踊ると言うとても贅沢な時間を与えられました。演出の祭山さんは演者に対し「基本的に指定はしない、各人自由にしてもらって良いが、五島さんの作品を見た上でのインスピレーションを表現に表してほしい。」と言っていました。

インスピレーションを表現に出す。うーん、わかるようでわからないような、できそうでできないような。ダンスで即興になると、ついつい自分のできる動きばかりになりがちなので、それが果たして作品を見たインスピレーションによって出てくる動きなのか、自分でも正直怪しい…。

なので、頭の中でストーリーを描いてみるのです。例えば、私の1番好きな五島さんの作品「手の記憶<海にノスタルジア>」をみて、その絵が目の前にある。まずはその輪郭(額に入っているから単に額縁の周り?それとも中の絵の線?)をなぞってみる。絵を外してみる(思い?軽い?)、横たえてみる(どっち向きに?東向き?西向き?)、絵から手に見えるそれが飛び出してくる、ギャラリーの壁を這うようにつたっていく…とか。もちろんいちいちこのように言語化して、それに沿って合わせて動いているわけでは無いのですが、なんとなく、はちゃめちゃで脈絡もつながりも何もなくていいので、とにかく、対象についていじりいじられ、それに対しての反応を自分で勝手につないでいく。端から見たら、そのストーリーを消してわかりこないし、別にわかるために踊らない(それだとマイムになってしまうから)。

ちなみにこれを見てあれそんなこと言ってる人いたなと思う人がいたら、ぜひ私にコンタクトを取って欲しいのですが、全く同じことを言っている方がいます!

A choreographer's creative process in real time / Wayne McGregor

私が彼のこの動画に出会ったのは、大学生の時でした。高校生での創作ダンス部と言う枠から外れ、自分でダンスサークルを立ち上げて、看護や福祉の大学なのに、ダンスサークルでばっかり熱中してシッチャカメッチャカしてた時代。つまり、私の考えが同じではなく、私が彼の考えをもろぱくって我が物顔で語っていることになるのですが(苦笑)、それこそ、めちゃくちゃインスピレーションを受けたのでした。

そんなわけで、私の即興(インプロビゼーション)における大きな軸は、音楽と頭の中に描くストーリーであります。

「もっと自分を解放するんだ!」

コンテンポラリーダンスや即興でよくありがちなのが「自由に動いていいんだよ」「自分のレパートリーにはまらないように」修⚪︎さんかなレベルになると「もっと自分を解放するんだ!」など。

いやめっちゃ難しいそれこそきっちーよ!(笑)自由に動いていいのに、今までの自分が学んできた動き方を使っちゃいけなくて、そして自分を解放するって一体どうやったらいいんだ!?

誰かが言った「制限の中にしか自由は生まれない」という言葉にあるように、何か制限をつけたほうが表現の幅は広がります。それを私はと言い換えていますが、私の場合は音楽やストーリーという制限を自分にかけて即興を紡いでいます。

しんせつスタジオの生徒さんでも、インプロに強くなりたいけど、自分にはまだレパートリーが足りない、と言う方もいます。めっちゃわかるー。私もその昔、即興だと言うのに、いくつかダンスのレパートリーを決めてここぞと言う時に発動するということもよくありました。でも、ダンスバトルもそんなものですよね。要は日々鍛えておいて、体の可動性をたくさん広げておけば、いろいろできるってことじゃないかな。

いきなり「自分を解放」しようとせず、まずは「両手を肩の高さまで広げる」「右足を上げて左足でぐらつかないようにキープする」とか「頭の中でボールを想像してそれを掴もうとする」、とか聞いたらその通りに実践できる、具体的な動きから始めてみてはいかがでしょう(結果がその通りになるかは別として、あくまで動くプロセスの話)

自分を裏切り続ける

あとこれはめっちゃ大事。自分を裏切り続けると言うこと。しまった。また同じようなものやってしまった、今めっちゃリズムマンネリしてるとか、気づいたら、自分が普段しなさそうな方向に体を持っていくという転換をさせます。例えば手を前に差し出したら次に顔に行きがちとか。ジャンプとかターンしがち、とか。つまり自分の癖を自覚していて「ほっとくと自分はこっちに行っちゃいそうだ。」ということがわかっている前提です。

癖は決して自分らしさ、表現の個性にはなりません。いかに自分の癖にすぐ気づき、それを意識的に変化させるか、変化させ続けるかが表現の大変さであり、面白さだと思います。

「自分らしくと言う言い方があまり好きではない」的なことを、我がしんせつスタジオのクラウド社員が言ってましたけど、確かに私も好きではありません。らしいってだけで枠作っちゃってはみ出していく!ができていないってことだもの。

「そして宙に逢う」では、美術作品に囲まれながら踊ると言う私の夢が密かにかないとてもうれしかったです。祭山寸花さん、劇団Y劇場の皆さん、五月女ナオミさん、岩間和子さん、静の中に動が渦巻く素敵なダンスの若尾伊佐子さん、もーしさん、そして五島さん。ありがとうございました。横須賀にはこれまでにない、枠を取っ払うような新たな試みでした。

実は私の野望は私の率いるダンスカンパニーが、横須賀美術館で踊りあげること。それが叶った暁にはもうしんせつスタジオは廃業、カンパニーも解散です!(え)芸術は爆発です、衝動です。なんちゃって…。

五島三子男さんHP

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投稿者プロフィール

三浦桃実
三浦桃実
看護師、ダンスファシリテーター、ヨガファシリテーター、シネマトグラファー。しんせつスタジオ代表。神奈川総合高校にて創作ダンスに出会い、神奈川県立保健福祉大学にて親切ダンスカンパニーを設立。様々な領域や枠を越えたメンバーで、地域に繰り出し踊ってきた。ダンスを言語として捉え、自分の思いを自然な動きで伝えるダンスのスタイルを編んでいる最中。ヨガ指導資格をリブウェルインスティテュートにて取得し、Bowspringや親子ヨガ、スタイルアップヨガなど、毎回哲学的なテーマを織り込んだオリジナルのクラスを提供する。ダンスもヨガも、ユーザー(参加者)と作り上げるスタイルが定評。またシネマトグラファーとして、依頼主の作りたい世界観を築き創るコンセプトで動画制作を行っている。
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看護師、保健師、RYT(全米ヨガアライアンス)500、メディテーション(瞑想)講師、JCDN主催コミュニティダンスファシリテーター養成講座修了生