ダンスは心の解放になるのか
しんせつスタジオスタッフが日頃思う自己表現についての考察や哲学っぽいことを徒然なるままに書いています。ダンス・ヨガ・映像制作、始めたい人、作ってみたい人、表現って何?と思う人はぜひ読んでみてください。
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「表舞台」の中にある“舞台裏”?
生徒さんの中には、「絶対に舞台に立ちたくない」という方がちらほらいらっしゃいます。
この話は、「そもそも私たちは何のために踊るのか」「自己表現とは何か」という問いに、結局立ち返るのではないかと思うのです。
私は高校生の頃にダンスを始めました。
神奈川総合高校のダンス部「chiffons」を新歓で見て、「めっちゃかっこいい。私もやりたい!」という気持ちで入部したのがきっかけです。そこから私の「見てほしい人生」が始まりました。最初から「人前でかっこよく踊りたい」が前提だったので、「ダンスを始める=舞台に立つものだ」という考えが自然にありました。
入部して2ヶ月足らずで、人数が少ないからと舞台に出ることに。だから「舞台に立つこと」への抵抗感は最初からなかったのです。
でも、自分が教室を開き、生徒さんと向き合う中で、「人前に出たくない」「こっそりと学びたい」という方が一定数いることに気づきました。
うちの夫もギターを教えているのですが、そちらの生徒さんでも「発表会さえなければ習いたいのに…」という声があったそうです。けれど、やっぱり発表の機会があると、上達にブーストがかかる。これは原ギター教室の原先生も言っていました。「人前に出ること」が目標になると、練習に集中できるんですよね。
私も以前このことについてブログで書きました。
ダンスの起源を辿ると、「祈り」から始まったという説があります。今年も豊作になりますように、怪我が治りますように——そんな願いを「神様」に届けるために、体を使って表現していた。
つまり「誰かに届ける」ことが、そもそもの始まりだったのです。
ですから、ダンスを習ったら必ず舞台に立て、とは言いません。でも、ダンスには「自分の内側を見つめる時間」でもあるという側面があります。それは素晴らしい考えだと思っています。
「内なる何か」を見つめ、そこからアウトプットしていく。そのプロセスの中で、「なぜ舞台に立ちたくないのか」「なぜ恥ずかしいのか」という自分の思いも、少しずつ分かってくるのではないでしょうか。
たとえば「完璧じゃないと表に出せない」という“完璧主義の呪い”も、そのひとつ。スーパーハイテンションエッセイスト(と私は思っている)たかのてるこさんがよく言っていますよね。英語も、完璧じゃないと話しちゃいけない、みたいなやつです。
でも、そもそも私たちは日々、生きていること自体が「表舞台」に立っているようなものです。
そこから一旦離れて心を休める場所、それが「舞台裏」。
そう考えると、ダンスという表現の時間は、日常という「表舞台」の中に生まれた“舞台裏”のような存在かもしれません。
人に愚痴をこぼすでもなく、ただ静かに休むでもなく、もっと建設的に、創造的に、自分の内側を“昇華”できる時間。それがダンスであり、ヨガであり、自己表現なのではないかと思うのです。
もっと知らなきゃいけないことがある
最近の私はというと、インスタやXなどで「発信しなきゃ」と焦っていた時期もありました。だから、思い切ってSNSの更新頻度を決めました(週一まとめて作業するとか、収録の曜日を決めるとか)。
正直に言えば、スタジオという仕事がなければ、SNSは使わなくてもいいと思っているくらい。もちろん楽しいですが、「記録」し続けなきゃいけないって思うのはちょっと苦しい。直接会ったときに話せば十分ですよね。
今はもっと「この世界の面白いことに触れたい」と思っています。
自然に触れたり、作家の本を読んだり、有名じゃない作家にも出会ったり。先日は「横須賀ブックミュージアム」に行って、地元の書店や人たちの存在に嬉しくなりました。本もたくさん買いました。
そして、その中で出会った本、ブレイディみかこさんの『他者の靴を履く』**に、こんな印象的な言葉がありました。
人生には「表舞台」と「舞台裏」がある。
人前で話す、仕事をする、社会での活動は「表舞台」。
それに対して、何も飾らず、誰にも見られず、自分でいられる場所が「舞台裏」。
「人前で踊りたくない」という人にとって、ダンスの舞台は「キラキラした表舞台」に見えるかもしれません。
でも、その舞台が、実は「舞台裏」になることもある。
心を解放する時間になることもある。
だから、踊ること=見せること、だけじゃないんだよって、伝えたいのです。
SNSは「舞台」なのか?
最近、発信やアウトプットに対して、自分の中で少し変化がありました。
SNSやインターネットで「何かを出さなきゃ」と焦るような気持ちに駆られていた時期があったんです。でも、そんな中で気づいたのは、「想像すること」と「実際にその人の靴を履いて、道を歩いてみること」はまったく別のことだということでした。
たとえば、SNSで一生懸命投稿している人の立場になってみる。必死にならないとできなかったこと、続けるための理由、目に見えない葛藤。そういうものを「想像で補う」のではなく、少しだけでも追体験することで、ぐっと距離が縮まる気がします。
イギリス在住の作家・ブレイディみかこさんの著書『他者の靴を履く』を読んで、あらためて「共感=エンパシー」の重要性を感じました。舞台の上の姿だけではなく、その裏にある“舞台裏”の部分も含めて、その人を理解しようとすること。それが、SNSをはじめとした現代の表現活動において、とても大事な視点なんじゃないかと思ったんです。
私はもしダンスやスタジオという仕事をしていなければ、SNSはたぶんやっていなかっただろうと思います。もちろん、SNSには楽しい部分もある。でも、自分の生活を「記録しなければ」と思いすぎてしまうと、苦しくなる。
「こうあるべき自分」「見せたい自分」を演じ続けることで、本来の自分を押し殺してしまうことがあるかもしれない。だから最近は、アウトプットの頻度を意識的に落とすようにしました。好きな作家の本を読んだり、自然に触れたり、インプットを大切にする時間を増やしています。
舞台裏が滲む
「ダンスは心の解放だ」と言う人がいます。私もその言葉には共感します。でも同時に、「心を解放したくない人はダンスしちゃいけないの?」と疑問に思うこともあります。
人生の「表舞台」と「舞台裏」。
社会で頑張っている時間、表で何かを発信している時間が「表舞台」だとすれば、何も考えずに自分らしくいられる時間が「舞台裏」。
でも、この2つは明確に分けられるものではなく、重なり合い、滲み合いながら生きているのが私たちの日常です。
ダンスも同じ。みんなに見せる側の表舞台がある一方で、舞台裏の自分がいる。表に立っていても、実は舞台裏の心が滲み出てくるような場面がある。そういった瞬間にこそ、見る人は感動するのかもしれません。
だから、ダンスで「心を解放しようぜ!」というノリに違和感を覚える人がいても、全然おかしくないと思います。
大事なのは、自分の気持ちに正直でいること。表現は強制されるものではないし、「解放されたい」と思わない自分もまた、大切な存在です。
自分の「舞台裏」を観察すること。その積み重ねの先に、自然と「表」に立つタイミングが来るかもしれないし、来ないかもしれない。どちらでもいい、自分が思うままにゆけば、自分さえ思っていないかも、自然な流れに身を委ねたら、それでいいのかもしれない。
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投稿者プロフィール

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看護師、ダンスファシリテーター、ヨガファシリテーター、シネマトグラファー。しんせつスタジオ代表。神奈川総合高校にて創作ダンスに出会い、神奈川県立保健福祉大学にて親切ダンスカンパニーを設立。様々な領域や枠を越えたメンバーで、地域に繰り出し踊ってきた。ダンスを言語として捉え、自分の思いを自然な動きで伝えるダンスのスタイルを編んでいる最中。ヨガ指導資格をリブウェルインスティテュートにて取得し、Bowspringや親子ヨガ、スタイルアップヨガなど、毎回哲学的なテーマを織り込んだオリジナルのクラスを提供する。ダンスもヨガも、ユーザー(参加者)と作り上げるスタイルが定評。またシネマトグラファーとして、依頼主の作りたい世界観を築き創るコンセプトで動画制作を行っている。
ユーザーさんたちが、自分が昨日よりちょっとかっこよくなっていることに気づいてもらえるように、スキルを活かして日々邁進中。モットーは「地球規模で考え、地元で行動」「しんせつなひと」
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看護師、保健師、RYT(全米ヨガアライアンス)500、メディテーション(瞑想)講師、JCDN主催コミュニティダンスファシリテーター養成講座修了生
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