没入したいんだ、舞台ってのは
しんせつスタジオスタッフが日頃思う自己表現についての考察や哲学っぽいことを徒然なるままに書いています。ダンス・ヨガ・映像制作、始めたい人、作ってみたい人、表現って何?と思う人はぜひ読んでみてください。
2つの舞台が終わり


俳優とダンサー、駆け抜けた夏2025。2つの舞台を見てくれた我が友人たちより「すばらしい of the year」「素敵な時間、一分一秒が愛おしいステージ」と大好評を受けました。観にきてくださった方、応援してくださった方、小屋入り等でしんせつスタジオ北久里浜店も何日かお休みをいただき、振替ご協力いただきました生徒さん、ありがとうございました。
演劇とショーダンス、ジャンルは全く違うようで実は同じ舞台として、演者サイド、観劇者サイド(主にこっち)としての、感想を徒然なるままに書き残します。
舞台で味わいたいものってなんだ?

ズバリ、非日常、非現実感!
時間を忘れて没入したい。
そして演者としては没頭していたい。
舞台というのは、お客様が時間を忘れる時間を提供する…その時間に対して対価が発生するのではないでしょうか。
でも人間が人間を見るということは、多分映画館のように二次元を見るよりもすでに現実感(だっていつも会っている人間たるものををわざわざ観にいくんだから、まして知り合いや職場の人となればなおのこと)。舞台装置ー照明や音響はその空間を非日常へ連れて行ってくれるマストな演出です。
だと言うのに横須賀市青少年会館上演の「王女ハムレット」では、照明ほとんどなし、音楽ほとんどなし、観客丸見え、舞台使用せずフロア使用…など、役者の生身の身体、その存在感全てが試される役者泣かせのある意味「演出のない演出」。照明がつけば多少はごまかしがきくと言うのに…なんて甘いこと言っている場合ではなく。
この距離感や演出が観客の皆さんにはとても好評でした。近いのがいい!と。青少年会館は普通に使おうとすると舞台と観客席がとても距離が開いてしまうため、なかなか難しい空間ですが、それを小劇場のような距離感の近さと大きな劇場のような広さ、どちらも兼ねた演出を、なおこるりんさん(ナオッチ・コルレオーネさん)はやってのけたのでした、すごい。
ちなみにナオッチさんはこんな人です↓
MCとかも正直いうといらないかなあ…作品解釈や説明、また衣装の早着替えや準備のための繋ぎ、によく演者によるMCが入ることはありますが、それが入ると一気に発表会のような現実感を私は感じてしまう(ライブっぽい楽しさもあるのだろうけど)。
それから、厳しいこと言いますが、舞台鑑賞の上でパフォーマーのミスがないことは大前提です。もちろん人間はミスをする生き物。私も実は舞台当日もリハとは違うことになったり、頭が真っ白になることは幾度とありました。が、それによって観客を、ひいては同じ舞台に立つパフォーマーさん達を一瞬にして、現実に引き戻すという事はあってはならないのです。
私は常々ハウツーよりもプロセスが大事だと述べていますが、舞台と言う完成されたパッケージに関しては、結果がすべて。どれだけ練習してきました、と言っても、本番に間違えては意味がないのです。
よくプロとアマの違い、を聞かれ、「それ(舞台活動)を生業にお金が稼げている人」と聞いたりもしますが、結果のために計り知れないほどの時間をかけ、本番に向けて覚悟ができ、安定してパフォーマンスを発揮する。それが本物のプロだと私は考えます。
舞台はナマモノ!取扱注意ですね。舞台人って、ある意味で危険物取扱者じゃないかな(うちの弟、2回試験落ちてますけど、難しいと聞きますが、いかがなんでしょう)。
非エッセンシャルワーカー
お客様が時間を忘れる時間を提供する。そのためにはその時間の何千、何万もの時間を費やし稽古し、身体を鍛える必要があると私は日々感じています。
パフォーマーって、本当に大変なお仕事です。ところで「エッセンシャルワーカー」って言葉を広報よこすかで見かけました。横須賀市で提唱されているのではなく全国的になんだろうけど。
エッセンシャルワーカー(Essential Worker)とは、医療、福祉、運送など、日常生活を維持するうえで「必要不可欠な(Essenntial)」仕事に従事する人を指します。 国内では2021年の緊急事態宣言の際に、感染リスクを負いながら現場で働く人たちに対して敬意を込め、この言葉が広く用いられるようになりました。
(なるほど!ジョブメドレーhttps://job-medley.com/tips/)
この言葉が出だした頃ぐらいよりも、前に私は看護師を止めています。確かに感染リスクと隣り合わせで戦っていた身ではありますが、そんな時に心の支えだったのはダンスや音楽でした。生の舞台が中止になって見にいけなくなったのは本当に残念でした。
いわゆる演劇やダンス、音楽、パフォーマーと呼ばれ、舞台に生きる人々はエッセンシャルではないと言うことでしょうか。もちろんそうした職種の皆さんへリスペクトを込めて知れ渡ったその経緯は理解できますが、「自分たちは違うのかな」とある人々には思わせるような、なぜそうした排他的な発想になるのでしょうか。私はこの言葉を聞いたときに憤りを感じたくらいです。自分の対象だったのに。
コロナ前のように、舞台芸術の振興も進みつつありますが、そうしたときに、違う形で追い詰められていた存在もあることを忘れてはいけないと思っています。私は生の舞台が好きです。そこに全身全霊をかけて、自分の人生を背負って、舞台に立つ、それを目の当たりにする時間ならば、いくらでもかけてみたいという人です。
私は生の舞台が好きです!
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投稿者プロフィール

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看護師、ダンスファシリテーター、ヨガファシリテーター、シネマトグラファー。しんせつスタジオ代表。神奈川総合高校にて創作ダンスに出会い、神奈川県立保健福祉大学にて親切ダンスカンパニーを設立。様々な領域や枠を越えたメンバーで、地域に繰り出し踊ってきた。ダンスを言語として捉え、自分の思いを自然な動きで伝えるダンスのスタイルを編んでいる最中。ヨガ指導資格をリブウェルインスティテュートにて取得し、Bowspringや親子ヨガ、スタイルアップヨガなど、毎回哲学的なテーマを織り込んだオリジナルのクラスを提供する。ダンスもヨガも、ユーザー(参加者)と作り上げるスタイルが定評。またシネマトグラファーとして、依頼主の作りたい世界観を築き創るコンセプトで動画制作を行っている。
ユーザーさんたちが、自分が昨日よりちょっとかっこよくなっていることに気づいてもらえるように、スキルを活かして日々邁進中。モットーは「地球規模で考え、地元で行動」「しんせつなひと」
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看護師、保健師、RYT(全米ヨガアライアンス)500、メディテーション(瞑想)講師、JCDN主催コミュニティダンスファシリテーター養成講座修了生
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