be slow, be cool.

雪平鍋には注ぎ口がある。あれが便利だと思って買って使ってみたら、まあ溢れる液垂れる。「なにこれ、使えない。」と思ってでも捨てないで穴開けて庭の植木の鉢でもと思い押し入れにしまっていた。脱プラ、フッ素加工のフライパンも全て処分し、ふとあの行平鍋は、と思い出した。よーく洗って、味噌汁を作り、試しにゆっくりゆっくり注ぎ口から注いでみたら溢れることなどなかった。要は急ぎ過ぎていた。ゆっくり注げばなんてことない。

最近、車の運転の練習を始めた。バイクしか今まで乗っていなくて、避けてきたがここで一念発起というか。バイクに乗っていた父親が「歩くスピードで走ればいい。ゆっくりすれば、教習所で習った通りにすれば事故なんて起こるわけない。」と言ってたなと思い出す。助手席で万一の際のためのサイドブレーキを握り締める夫も「（後続車は）待たせればいいんだから、ゆっくり。」と。とはいえ、あんまりチンタラ走っていたらそれは迷惑だろう、多少は車道のスピードに乗りたいところ。まあ何回か練習して、それが「早い」と思わなくってきたら、焦ることはなくなってくるとわかった。

左手で調理する。左手でハングルを書く練習をする。左手で玄関の鍵を閉める。「あーもう焦（じれ）ったい！」と右手に戻したくなるが、そこをグッと堪えてみる。左手で作ったから美味しくなるわけでも、ハングルがうまく書けるわけでも（むしろ下手）でもないけれど、使われていない左手がなんか勿体無いと思うから。あと動作の違和感を一つ一つ感じられるので、慣れ過ぎてて「あれ、鍵閉めたっけ。」みたいにならない。手間をかけたのでよく覚えている体が。今書いてて気づいてけど焦（じ）れるって焦（あせ）漢字同じなんだな。

ゆっくり動く。スローという言葉。効率的に、時短、コスパ、タイパ、、、と急かされる現代においては、スローなんて疎ましく思われそうな言葉。

私の中に何故か以前から「be slow, be cool.」というコピー的なものが出来上がっていて、出来上がってはいたけど、なんのこっちゃという感じだった。ただゆっくり動くこと？だって今ダンスの流行りもキレキレに一コマにたくさんポーズを詰めて踊る方がかっこいいし。でも私はどうもその流れに乗れない。そもそも早く動くことが文字通り苦手だ。物理的な動きも、時間管理も（遅刻魔）、仕事も。とにかく人より遅い。

「仕事は早くてなんぼ、余ったら次の仕事はなんですか、って聞けるくらいにしなきゃ。」と昔から母親はよく言っていて、よし、そうしようとすればするほど私はどんどん人より遅くなってしまう。特に刻一刻と状況が変わり、判断の素早さが求められる医療現場にいた頃は、全くの赤の他人だった方との生と死に携わり、感情労働もあったけど、そんな感情もろくに向き合えないまま次々と仕事に迫られ、正直とてもしんどかった。遅くて丁寧かと思えばそうでもなくてとにかく生産性がない。「使えない人間」そう気づいていたからなんとかしたかった。そのうちに、私は大丈夫、あの人よりはマシに仕事できてる、みたいに相対的評価で人を蔑むようになってくる。よくない流れだ。

文化人類学者、環境活動家の辻信一さんと共生革命家ソーヤー海さんの対談を読んで、「スロー」について面白いことが書いてあった。『スローはもちろん「遅い」ということだけど、もっと深い意味のある哲学的言葉なんです。時間を見直す、ということは結局人生を見直すってこと。』(都会からはじまる新しい生き方のデザイン　URBAN PERMACULTURE GUIDEより)そっか、そうなんだ。スローって悪いことじゃない、むしろ哲学なんて聞いたらめっちゃかっこいいじゃん。私かっこいいのが好き！（単純）

自分で選択して生きているように見せかけて実は大きな何かにコントロールされている。立ち止まることはその瞬間瞬間をちゃんと自分で選択して生きるよはくを持つということ。隙あれば何かに引っ張られそうになる自分を、自分の真ん中に、ちゃんとそこにい続けること。まさに瞑想の世界。この時間を味わわないともったいない。酒井幸菜さんの言葉を借りると「存在を味わう」を最もシンプルにわかりよくしたもの。存在ってまさに形にできない「今ここ」だろう。私はストップ（静止）よりもスローに、止まっているくらいゆっくりだけど動いている、方が言い方は好きかな。

8月にダンス縁日2025で同じ枠内で踊っていた「Dance Performance YORIMICHI（ヨリミチ）」さんのムーヴメントがとっても素敵で。決して早い動きではなく、むしろ音楽と体を端から端まで使うようなための多い動き。でも飽きずにみていられる。ダンサーさんたちの水準の高さも勿論、緩急や表情のメリハリが効いている。ああ、こういうの忘れてた、こういうのもアリじゃないか、と勝手に惚れ込んでしまった。基本的に二番煎じでそれをもはや開き直る私は、このYORIMICHIムーヴメントを早速取り入れたい。

科学的にも、って言い方はあまり好きくないが、ゆっくり動くことは健康であると証明している方がいる。私はRYT500で本のプレゼンをしなければならず、『「ゆっくり動く」と人生が変わる 副交感神経アップで、心と体の「不調」が消える! (PHP文庫) 』という小林弘幸さんの書籍を選んだ（どこでしったかは忘れたけどKen先生の薦めた本の中にはなかった気がする）。小林先生は順天堂大学医学部教授で、交感神経が優位になり過ぎている現代人は、ゆっくり＝副交感神経の働きを高めることが健康になる鍵だと説いている。はるか昔に読んで我が物顔でプレゼンしたくせに、こんないい教えがあったことを私はすっかり忘れていた。久々引っ張り出し、読んでみる。そして先生のYouTube、ぜひみてほしい。まあ〜ゆっくり話す人（笑）しかも、小林先生ってトップアスリートやアーティストのコンディショニング、パフォーマンス向上指導も携わっているらしい！すごい、弟子にしてほしい。ちなみにしんせつスタジオ北久里浜店でも、「パフォーマーのためのヨガ」と題してやってます！宣伝

表現者のためのヨガ

突然ですが、石井久美子さんをご存知でしょうか。バレリーナで「世界水準のバレエ教育を、日本から。」と日本でバレエ教育に勤しむ彼女。実はオーナーみうらとしる、同い…

しんせつスタジオ

以前、アーユルヴェーダを受けたいと思って、実は自分の家のめちゃ近くにあったことがわかり、トリートメントを受けたことがある（アーユルヴェーダサロンゴルデア）。RYT500 の中でも、体質診断は簡易的だがしたことがある。が、大体せわしい私にはヴァータ（風）の項目が多く当てはまる。しかし、オーナーの青木さん曰く、「三浦さんはカパ体質ですよ、お会いした瞬間からそう思いました！」と言われて、新しい私デビュー！というより、腑に落ちた。カパ体質といえば水とか土とか、「穏やかで辛抱強く、 物事をやりとおす。体力・持久力に優れている。湿気に弱い」とか言われる。要はゆったりどっしりなのだ（照道さんから頂いた笑道画をスタジオに飾っていますが、ゆったりどっしり、だった…照道さんはわかっていたのか！）。本来の体質とライフスタイルの不一致が様々な不調を起こす。確かに、幼い頃の診断が本来の体質でそこに近づけて過ごすといい、ってこれもRYT500で言ってたな…いやあ人間は忘れる生き物ですね！←　確かに今も忙しいけど、看護師だった頃よりはマイペースで仕事ができているし、比較的体力もつき、体も良く動いている。

私はコーヒー中毒なんじゃないかってくらいコーヒーが好きである。夫もである。朝は口癖のように、「コーヒー淹れようか」から始まる。私は胆嚢的出をしているのだけど、それとは関係なかったけど物凄い腹痛に悩まされていた時があって（救急車もう呼べよレベル呼ばなかったけど）、もうカレーやコーヒーなどの刺激物は二度と食べられないかもしれないと、自宅在庫を一掃したこともあった…が今は普通に飲めるしとても好き。カパ体質の人は午後はあまりカフェインは取らないほうがいいらしいが、私はいつでも大体デカフェで楽しんでいる。どっかの本で見たけど、「急いでいる人ほどコーヒーが好き」らしい。そうかも。コーヒーを飲むことより、淹れている時間や淹れられる時間があることが嬉しい。料理も作らないと食べた気になれないタイプ。手間をかけたいのだ。

呼吸＝話す。厳密には声を出している時間は息を吐き出している時間だから、イコールと言えるものかはわからないが、その人のペースで吐く息を紡ぐとなれば、呼吸のペースが一番最適だろう。私は、最近某クラウド社員から「としるは、話すのゆっくりになったよね、学生の頃より。」と言われるようになった。相手の話をよく聞くようになったからだ。今までは聞きたいけど自分も話したくてでも自分ばかり話していると申し訳ないからでもいっぱい話したいから巻きで！とベシャクリ早口であった。今だってまあよく喋るなこの人ーって思われているだろうけど、だいぶマシになった方なのである。しゃべらないと死ぬ三崎マグロのようだった。人のために自分が巻いて時間作るくらいなら最早話さなければいい、と思うようになり、ちょっと楽になったし結果、ゆっくりになったのかもしれない。ゆっくり話せば余計なことを言わずに大事なことだけ話せる。それは今でいうタイパとかサマリー的な意味でなく本質的に大事なことを自然な形で伝えられるのだ。でも伝えたいことがまだまだある。このブログの長文が物語っていますかね。

「be slow, be cool.」do slow ではなくbe。そこで何かする、何かしなきゃ、ではなく、唯いるだけ、それが大切で難しいことだ。でもちょっとかっこよく、素直な欲も添えてる。「粋」ってピッタリした英訳が見つからなかったけど、スローなのにクールって？とまた立ち止まれる組み合わせとして悪くないかも。違和感を味わう的な。ちなみにandではないのはついで感を出したくなく、両方やろうぜってこととただ音の響きだけで。

しんせつスタジオはこの時代の流れに逆らって「be slow, be cool.」を提唱する、slow movement を探求するスタジオです。今からそういうことにします。だからダンスのジャンルがどうのこうのというよりも、スローに生きることをどの表現でも体現できるよう生徒さんに学んでいただきますのです。合言葉は「ビスロう」ちなみにスロームーヴメントとは「The slow movement is a cultural initiative that advocates for a reduction in the pace of modern life, encouraging individuals to embrace a more thoughtful and deliberate approach to their daily activities.（Wikipedia）」すみません、ウィキからの引用ですが。

効率を上げる、よりもダウンシフト、よりスローになることの方がかっこいい、と私は推奨します。ゆとりくんも、ゆっくり話す方がモテるって言ってたしね！ちなみにこの記事は朝書いています。目覚ましかかってもすぐ起きずに体をもしゃもしゃ動かして、ゆっくり早起き、そして瞑想。ゆっくり急ぐって意外とすぐ実践できる。

実は、スローに生きようって決めたのは。愛猫のブナちゃんのおかげというか。ブナともーしとゆっくり生きていきたいです。今日も生きててくれてありがとうブナ。

私をスローにつなげたリンク⬇︎

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都会からはじまる新しい生き方のデザイン　URBAN PERMACULTURE GUIDEソーヤー海はじめての監修本。クラウドファンディングで2,338,564円のサポートをいただき完成した全ペ…

東京アーバンパーマカルチャー

◆Dance Performance YORIMICHI（ヨリミチ）https://www.instagram.com/misatohigashi_oo

◆小林先生のYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCqLclx8mBLWfN8wbrTAhkSA

特集：アーユルヴェーダ体質診断 – ノバスコシアオーガニックス

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◆アーユルヴェーダサロンゴルデア　https://goldea.info

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