こどもによはくある場所を

しんせつスタジオ、事業を見直す

いつも以上に今回は長いな…。備忘録と思って残します。

この記事を書いているとき、私は人生の大きな転換期を迎え、しんせつスタジオもその転換の機に入りつつあります。これまでしんせつスタジオは「しんせつなダンス」「しんせつなヨガ」「しんせつな映像制作」の3本柱にてやっていました。でもそれは具体的なstrategies(MVVでいうvalue的な)であって、missionは「誰もが今よりもちょっとかっこいい自分になる」こと。実際、ダンスやヨガ、映像を通して出会うみなさんには数々のストーリーがあり、ちょっとずつかっこよくなっていく、素敵な過程にみうらとしる自身も携わらせていただきました。

別にそれが終わるってわけじゃなく続くんですけど…笑 でも今よりもちょっとかっこよくいる前に、今まずどう生きているか?が大事かなって。ヨガのタントラ哲学、RYT500の学びの中でも「今ここを生きる」ことは繰り返し説かれてきました。その度に、カルロ・ロヴェッリのあの真っ青な本「時間は存在しない」を思い出し、「じゃあ今ってなんなんだー」って頭を抱えたりしちゃうのだけども。

ある言葉との出会い

どうしてそう感じるようになったかというと、最近読んだトーベ・ヤンソンの「小さなトロールと大きな洪水」講談社文庫,P95 本文ではなく、訳者である冨原眞弓さんのあとがきにあった素敵な言葉との出会いです。

「ヤンソンさんがこの物語を書きはじめたとき、ヨーロッパでは第二次世界大戦がはじまろうとしていました。〜略〜

思うぞんぶん好きなことをしたり、嫌いなものは嫌いだといったり、なんにもしないでいる自由までなくなってしまったのです。」

ああ、そうか。私たちは誰もが本当は「思うぞんぶん好きなことをしたり、嫌いなものは嫌いだといったり、なんにもしないでいられる」ように生きていたいんじゃないのか。特に最後の、なんにもしないでいる自由という一言がなければ、もしかしたらスルーしかけたかもしれないこの一文。今のこどもたちにとって大切というか、当たり前だけどしにくくなっていないか。私は自分がそう生きていたいし、そういう場所を作りたい、と何かが体の中でぱちんと弾けた気がしたのです。

これまでも散々、しんせつスタジオのコンセプトコンセプトコンセプトたるものは…と考えてきて、勿論「今よりもちょっとかっこいい自分になる」も心から納得してつけたコンセプトではあったし、何事もちょっとかっこいい方がいいじゃんという考えは今も変わりません。「Fill our life with moving moments!」「自分の人生に感動を、人生を感動で埋め尽くそう!」という言い方も色々考えた末にネイティブな友人にわざわざ思案してもらったり。とても好きな文言なのですが、とはいえ、こういう言い方をするとどうしても華やかさとか、感動しないとダメなんですか、みたいな捉え方にならなくもない…(私は自分の身体を通して自分の感覚を大事にすればなんでも感動できるってことを言いたかったんだけど、コピーって難しいですね)。

「ありのままでいいんだよ」「自分らしくいよう」ってメッセージとして私的に弱いのです。“ありのまま”も“自分らしく”も全部枠組み、なんなら自分に自分でかけた呪縛のようなところがあるような気がしてならない。これは内田樹さんもおっしゃるように、『「自分らしさ」なんか別に慌てて確定する事はないです。 〜略〜 みなさんが罠から這い出して、深く呼吸ができて、身動きが自由になったような気がすること、それが一番大切なことです。』(サル化する世界,文藝春秋)

一生自分らしさなんてなくてもよいでしょう、自分が生きていることがそれそのものだから。ただ、過度な緊張はない方が楽に身軽に動けるし、呼吸もしやすい。呼吸がしやすければ、世界を見るゆとりが生まれるし、ゆとりができれば人に優しくできる(残縁ながらゆとりがないと人に優しくできないことが多いのが現世です)。

だからここはかっこつけずにストレートに、少し言い方は変えていますが(冨原さんすみません)

「好きなことを好きなだけやる。
嫌いなものは嫌いっていう。
なんにもしないでいる自由も、
ぜんぶ、大切にする」
(これ改行が大事です、ゆっくり読むために)

「自分の人生を味わう時間」

この2つをしんせつスタジオのコンセプト、社会に向けて発信したいメッセージの根幹としようと考えます。

現状はどうかというと

しんせつスタジオ北久里浜店で言うならば、それはできていたりできていなかったりします(先に言っておくと、しんせつスタジオは事業総称であり、しんせつスタジオ北久里浜店というのは実店舗のダンス・ヨガスタジオのことを指します)。

こどもがやりたいと言ったわけではないが親御さんが習って欲しくて通わせるケースは多く見られます。勿論、こどもが希望したからというのも特に今流行りのダンス教室ではあることですが。私はこどもが楽しければダンスでなくてもなんだっていいじゃないかと思っています。ただ、とにかく身体は動かせ、損はしない、と。

身体を使うってことは脳を刺激し結局頭も使うことになるんだから、運動できる=勉強できないは本当は嘘です。小学校の時そういう奴いたけど、あの人勉強できないんじゃなくて“していない”だけ…私は誰に似たのか超運動音痴で、勉強は好きだったけど得意な方では実はなかった。人の何倍も時間をかけてやっと同じラインに着くと言った具合でした。看護師時代にもダンス・ヨガ講師としても脳神経について学んできてそのことに納得しています苦笑。頭の回転もとにかく遅いし今でも。

話は少し逸れたけれど、しんせつスタジオ北久里浜店では、特にキッズ低学年クラスでは色んなことをしてもらいました。窓に絵を描いたり楽器を触ってみたり植物のお世話をしてもらったり…基本のダンスステップなんか教えない(アイソレーションは大事だからやる)けど発表になると突然詰め込み出すみたいな(ごめんね!)。クラス進行も自分たちでやってもらい、順番も決めてもらう。時に納得がいかず生徒同士で言い合いになっても、私が口出したほうが絶対早いなーって思いながらも見守り続ける。時間もかかるし、所謂「ダンス」を教える時間は減るけどそれでも。

なんだか良いことしているように見えなくもないレッスンですが、自分の中で目指していたものとのギャップも感じていました。もっとフィジカルを鍛えたいし、ハキハキと動いてほしい。能動的にダンスと向き合ってほしい。私の作る、私のレッスンなんだから、好きなようにやればいいのだけど、今のこどもたちに一方的なレッスンは多分合っていない。とか言い訳して結局相手に合わせてしまう優柔不断なところが私にはあります。

要するに、私にはこどもたちの身体をひらくには技術(スキル)が足りなかった。表現の幅を広げてほしいけれど、やっぱりここはダンス教室だからダンスを教えたい。でもお子さんたちにとっては、多分ダンスじゃなくていいし、なんならちょっとダンスが苦痛そうに見える方もいました。それは実は私にとっても苦痛なのでした。まあ、私がわがままで一番こどもなのは間違いないです。

そもそもしんせつスタジオ北久里浜店ができたわけ

しんせつスタジオ北久里浜店が誕生したのは、私が積極的に起業したというよりは成り行きなところはあるのですが、それでも希望や夢を実現したいと思って始めました。

その一つに、横須賀のみうらとしるが率いるパフォーマンス集団「スタジオ◎きのこ」があります。多少身体の動きに難があったり、思い通りに動けないかもしれない障がいを持つ方々も、みんな一緒になってパフォーマンスしちゃおうという活動です。ダンスが主ですがとにかく楽しく体を動かすこと。でもいざ発表となれば練習は厳しいです。それは私の拘りであり、「障がいがある人がステージに立っているだけですごいでしょ」みたいにしたくなく、そういうのを抜きにただ「表現がすごい!」と思わせたいから。インクルーシブという言葉も好きではない。多種多様性は生きていて当たり前、同質な方が異様だと思うからあえてインクルーシブな集団、という方が変。

そこに身体表現の経験が豊富なアマ・プロのダンサーが混じることでパフォーマンスはより可能性は広がる。障がいのある人だけで作るハイレベルな作品も世の中には多くあるけど、ある程度経験者がいることの方が深みが出るというのが私の考え。最低ライン、ウィークポイントから作品を作るにしても、空間認識や身体認知など苦手なことは人それぞれなので、できるだけそれをカバー又は活かすには、同じ空間にただ「健常」な人がいればいいのではなく(ヘルパーさんが入るのは難しかったりする)「経験者」がいた方がいいと思うのです。

逆に言えば、身体表現者たる者、目指す者はただスキルを上げるだけでなく、こうしたテクニックを広げる経験があった方がいいということ。スタジオ◎きのこでは厳しすぎて言えないということでも、しんせつスタジオ北久里浜店では言う。しんせつスタジオ北久里浜店で、そうして表現者を育てたい、ゆくゆく、スタジオ◎きのことかそういうのに混じって「ダンスって表現は無限なんだ」と邁進してほしいという夢があります。

少人数だからできることがあり、ニーズも高まっているように見えますが、やはり社会を学ぶのは少人数では難しい。少人数の空間だと特に、一人の持つ影響力やパワーが強すぎるからです。少人数制は、例えばスキルアップや技術指導が綿密に欲しい場合など目的が割とはっきりしている場合は合っているかもしれません(だから当初の目的には適っている)が、お子さんの総合的な自主性を育てるなら、やはりそれは社会で培うべきものだと痛感します。それを学校や他に代わって私がなんだかやろうとしてしまったから、うまくいかなかったのではないかな、なんて自分の中では思っています。生徒さんや保護者さんには勝手言って申し訳ないです。

だから、ダンス教室でそれをするのはもうやめようと思います。まずは自分の生き方を熟考して選択できる場所「夢みるスタジオ」を作りたいのです。スキルアップと、それぞれの表現したい欲求を自由に身体言語化することは、両極ではなく両立できるはず。

ただしんせつスタジオ北久里浜店がなくなるわけではないので、毎週のように行うレッスンは減るかもしれないけど、月1回何か創作ワークショップみたいなことを、いろんな分野の講師を呼んでの企画などを考えています。

大人クラスもいくつか閉講するつもりでいます。自分が寝る間を惜しんででもやりたいことを、立ち止まって見つめ直したいと考えています。度々勝手ばかりを言っている勝手オーナーで申し訳ありません。

これから掲げる3つのvalue

Movement ダンス・ヨガによる身体表現とコンディショニング
Space こどもが安心していられる居場所の提供
Videography 表現や活動を記録・発信する映像制作

それぞれには副題があります。

Movement…Body 身体を通して自分とつながる
Space…Yohaku 時間や空間の余白にただ身を置く
Videography…Story 想いや時間を映像として紡ぐ

こちらもまだまだ思案中ですので気分で変わる可能性もありますが、しんせつスタジオ創業(名乗り始めて?)5年目くらいにしてやっと、素直にするっとやりたいことが表現できるようになった気がします…。歳を重ねると、あれこれよりも、シンプルが一番ってなるのかも笑

特段生まれ変わったわけでもなくむしろ色々削いでシンプルになっていきたいしんせつスタジオを生暖かく見守っていただけると嬉しいです。

いつもながら長くてすみません。

みうらとしる


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