大人になった時、
相手のことがわかって、
分かり合えた時に
その嬉しさを思い出すのでは
ないかなと思うんです。
岡本先生のしんせつなストーリー
「子どもにダンスがしたい!させてくれ!」という私の突発的な思いつきを快く受け入れてくれたのが横須賀市にあるしらかばこども園第二学童クラブの岡本先生。このしんせつなダンス教室ワークショップについて、そんな岡本先生はどう感じているかしら・・・先生の子どもへの思いも、全部聞いてみました!
まず、、、岡本先生はどうして学童の先生になったのですか?
小学生の時に心の不調が実はありました。自分が小学4年生くらいの時、妹が小児疾患を患っていたことで両親は妹にかかりきりでした。おばあちゃんと過ごす時間がほとんどで、学童も少し利用していたり。退院した後も親の妹への心配は続くので、多分自分にはそれが寂しかったんですよね。それでメンタル的な不調に陥り、自分も食べられなくなって入院してしまうほどでした。そこから親と関係を作り直す期間ができたんです。それまで結構「良い子」で通ってきたのですが(笑)、反抗期と思春期全部一気に繋がってしまって、母親にも暴言言いまくって泣かせたりしていました。「こんな家痛くない出てってやる」とか、もの投げつけたりとか壁に穴あけまくって家で暴れまくってました。
え、全然そんなふうに見えない(・ᯅ・)←
でも結果的に親とすごく仲良くなれたのです。本当の自分をわかって欲しい自分と理解しようとしてくれた親と、本気でぶつかり合ったことで最終的に実を結んで、色々あったけど荒れて良かったなって(笑)
自分は入院したことがあったので、初め看護師になって「本人とその家族を支えたい」と思っていました。でも受験がうまくいかず、看護学科ではなく社会福祉学科に入学することになり。同じキャンパス内に看護学科があることを気にしてしまい、1年休学していた時期もありました。その時に「家族も支えたいと思うなら、それって福祉じゃない?」と言われたのを機に復学。実習などを通して、医療よりも自分のやりたいことは地域での方ができるなと感じました。子どもとの葛藤に苦しむ親も、悩む子どもも、どこに頼れば良いのかわからなかった、そんな自分の経験を活かして相談職として親子を支えていきたいと考えていて。でも当時は子どもがあまり得意ではなく、大学のK先生の紹介で今の学童に就きました。相談職ではないけど「まずは現場を見て子どもを知ってこい。」と言われて!3年くらいで辞めるつもりが、今6年目になります(笑)
あら長い!その学童に居続けている理由は?
自分の見ているこどもを卒業させたくなってしまって(笑)仕事していて思うおは、子どもたちからはすぐに見返りが返ってくることは無いということです。子どもと喧嘩もするしうまく行く日もいかない日もあったり。その繰り返しの中で、数年経ってから、急に子どもの成長や変化が急に見えることがあって。話聞かなくていつも怒られていた子がふと話を聞くときにちゃんと目が合うようになったり、帰り際にじゃあねと言っても今まで振り返らなかった子が無言で手を振るようになったとか。それも1年、3年とか経った後なんですけどね。「あれ、変わったかも?」って発見をするのがやりがいかなと思っています。子どもから良い反応する時は、自分のさっきの声かけ良かったのかもと嬉しかったりするし、その逆もあったり。「そういう考えもあるよね!」と子どもの柔軟な発想に力をもらったり、子どもたちと同じ目線で学びがあることがこの仕事のやりがいだと思っています。
そんなに子どもに気づきを持てるなら、教職員になろうと思ったことはないのですか?
教員向いているよと言われることもあります。でも生活の中でゆっくり関係を築いている経験しかしていないので教員になれるほどかなーって・・・。しらかば学童第二学童では「しらかば子ども家庭支援ステーション」が設けられて、今後稼働していく予定なのでそこでやっぱりやりたいのは相談事業ですね。児童支援から、保護者支援に繋がり、家庭全体の支援をすることがここで自分がやっていきたいことです。「岡本さんがいるから安心」と言われる存在になれたら良いなと思っています。
岡本さんが一緒に過ごしている子どもたちにはどんな特徴があると感じていますか。
今の子どもたちは集団行動が難しいなという印象があります。人の話を聞くのが難しかったり、集団に参加できなかったり。それと想像力や興味関心が薄くなってきている気がするのです。段ボールや廃材で何かと工作をする学年がいた頃は、廃材があってもあっても足りないくらいでした。今はあまり使われず余っている・・・提案しても乗らないし(苦笑)コロナの影響があり、経験できたはずのことができなかったりして、視野を広げられないのかもしれない、なんて思ったりもします。答えが先に見えていないとなかなか取り組まない傾向がある気がします。想像したり、考えることが難しいのかもなと。
最初このワークショップをやるよと朝声かけした時も「何それ」「やりたく無いんだけど」って反応が良くなくて(苦笑)ダンスに限らずなんでも最初はこういう反応が多いんですけど。それで少し心配でした。
子どもは本当に楽しい!と思うことしか参加してこないかもしれませんね。しんせつなワークショップをやってみてどうでしたか?
初めて見たら、最初と最後のギャップが大きくてそれが印象的で。最後はみんな笑っているんですよね。私も嬉しかったです。しんせつなワークショップでは例えば「木」を表現しなければならない、しかも言葉を使わないという制約付きで、表情や体の動きだけで。マスク生活で表情も乏しくなっているのある中、諦めずになんとか伝えようとしている子どもがいるのを見て、こういうやり方をすると見えてくるものがあるんだなと感動しました。粘り強い心を育てられるような。時間は40〜60分と内容は盛り沢山で短いように思えるから、繰り返しやっていけたら良いんだろうなと思います。
しんせつなワークショップでは、始まり方がゆるーくて(笑)、ざわざわしているのをきちんと静かにしようとするでもなく、ペースがゆっくり、でもなんとなく、強制的ではなく最後は皆で同じことができてゆく、という流れがいいなと思いました。私や指導員は子どもと関係性が築けているけれど、しんせつさんは1.2回会っただけでそれができるのはすごいなと感じます。(子どもに関わる大人として)それぞれの専門性や土台、レールがあるのでそこはぶらさないようにするのは大事だと思うのですが、その考えからしかできない、思いつかないことがあるので、それが参考になりました。
予想していたものは違いましたか?
ちょうど私が伝えたかったことが伝わる内容でした。私は顔の表情が伝わりやすいみたいで、マスクする前は私の感情を読み取って「岡本先生今怒っているからやばいよ!」とか察することができる子どもが多かったのですが(笑)今は、相手の感情を表情や、言葉以外の何かで読み取るとかそういうのが難しくてできない子どもが以前より増えている気がします(つまり岡本先生が怒っていることを察せない笑)。これはあくまで例えですが、相手の感情を分からなくても考えようとする大切さ等を子どもに向けて話したくて、でもそれこそどうやって伝えればいいのかなと丁度思っていたところでした。しんせつさんのワークショップを見て、全然違う角度から切り出せばいいのか!音楽やリズムに乗って楽しく表現を学ぶ様子が自分の中では斬新でした。子どもの中でこれが自己表現につながると思ってはいないだろうけど、いつか大人になって、「あれかあ!」って実を結ぶんじゃないかって。(伝え方は)ダイレクトじゃなくていいんだなと思いました。
授業のように「友だちを大切に!」と直接説くのではなくて、間接的に、しかも楽しく、狙いを言わずとも子どもが自ら学んでくれる流れは、ワークショップとしては成功ですね(笑)
学校でも絶対言われていると思うんですよね。だから直接説明したところで聞き飽きたーってなるんだろうなと。でも友達や他人とうまくいかな買った時に自己表現がうまくできないことで手が出る、といったパターンが多い気がするのです。そして自分の気持ちをちゃんと伝えればいいんだよと言われたところで、理解できなくて、どうやって?となってしまう。今回のワークショップで表題のものを体で表現しあって当てっこをしていました。当たったら子どもは絶対嬉しいし、大人になった時、相手のことがわかって、分かり合えた時にその嬉しさを思い出すのではないかなと思うんです。遠い先かもしれないけど、そういう体験ができるきっかけになるといいなと思います。
ワークショップについて先生方の反応はいかがでしたか?
ある先生が(しんせつなストーリー参照)もっとやりたいって言ってて(笑)やり方を習いたいし、エアロビとかやってほしい!と。最初参加せず見ている他の先生方に「なんであんな楽しいのに!!」と積極的に参加を促していましたね(笑)子どもたちへの影響の他にそういう変化もありました。
これからしんせつスタジオでのワークショップで、こんなふうにしてほしい、などアイデアや希望はありますか?
今って個がより大事にされていると思うのですが、私はやっぱり集団も大事かなと思っています。学童は(子どもが)個別的に過ごすことも多い場所ですが、こういう集団で過ごす時間があってもいいなと。なのでこういった活動を積み重ねていって、子どもたちがどうなるかその先が見たいな、という気がしています。体の動かし方や使い方を子どももスタッフも学べる場所であって欲しいです。
▶︎しらかば学童クラブHP https://www.shirakabakids.com/kids/
▶︎しょうた先生のしんせつなストーリー https://shinsetsu-studio.com/しんせつなストーリー/shirakaba2/
From Studio...
反抗期どころか親泣かせのアウトローちゃんだったのは知らなかったですよ(笑)岡本先生のおかげで、こんなに子どもに関われる機会をいただけています。それだけでなく、子どものスモールステップにしっかり寄り添える人であることが、子どもたちとの関わりからひしひしと伝わってきます。何においても細やかな気遣い気配り、さすがです・・・!
写真は学童のお子さんが私のカメラを使って撮ってくれました^^