子どもに育てられるコーチとは

え、子どもを育てるのではなく?

みうらとしるはしんせつスタジオ以外で施設でのコーチもしています。コーチをしていれば生徒さんから教わることはいくらでもある。もしその対象が子どもだとしたら、親御さんを通じた子どもの声だったり、子どもを通じた大人の声だったりする。

なんてことしてんだ私・・・!

スイミングクラスにて。スイミングのコーチとしては、アシスタントを卒業して今回が2、3クール目。クロールをノンブレ(息継ぎなし)で泳ぐために練習するこのクラスはとにかく回転が速い。私はクラスが終わったあと少し遊びの時間を入れたりする(自分が遊びたいだけ)。その際によくやるのが、子どもを持ち上げてバッシャ〜ンと手放しもぐらせる遊び。もちろん息どめ・ボビングができる前提であり、持ち上げると言ってもあまり高さは出ないけれど(私の腕力が限界)普段のクラスにない躍動感で人気の遊びである。生徒の一人、まりちゃん(仮名)もその餌食となりバッシャーン。みんなで楽しくクラスは終わり、解散、、、と思ったら、なんとマリちゃんが泣いている。実はこの日、コーチは12月いっぱいで退職であることを伝えたばかりで、それで泣いているのかと思い「泣いてくれるなんて私のことそんなに好いてくれているのか〜。」と今思うと飛んだ勘違いをしていた。そのまま帰すわけにはいかないので理由を問うとまりちゃんは小さく泣きながら途切れ途切れに「最後の・・・怖かった・・・。」と言った。

ガビーン!!そしてやっちまったなあ私!!!

泣きながら帰ってきたまりちゃんをみて、まりちゃんママもびっくり。状況を説明し、謝るにもまりちゃんは俯いたまま。「話は聞いておきます。」と真っ直ぐにこちらを見るママ。こんな我が子の様子を見たら、あなたうちの子に何しているんですか、って誰でもなるに決まっている。

あー、、、やってしまった私、、、。

コーチングも生徒さんたちとの関係も順調で自信がついていた私。調子に乗りすぎてしまった。そのあとは別のクラスが待っているからすぐに行かなくてはならない。性格上とっても引きずるので、頭の中には泣いているマリちゃんが、でも次の クラスに行かねば。
そのクラスが終わった頃くらいに、フロントより「コーチと私と娘3人で直接話をしたい。」とママから要望があったと。フロントスタッフや社員ではなく、どうしても三浦コーチでないとダメなんだと。もうプールに行きたくないって言ってると・・・。私はまだ次のクラスがあるのでプールから出てこられない。クラス終了後に電話をかけることになった。その間の憂鬱といったら。なんて事したのよ私ー・・・!って。

まりちゃんがコーチに言いたかったこと

これはもう切り替えるしかない、ヨガ哲学的な何かによれば今ここを生きるのが大事。色々考えても仕方ないし、話を聞いて全力で謝罪するしかない。そうだそうだ・・・。

いやでもやっぱりこわいなあ・・・。

何が怖いのだろう。子どもから嫌われるのが?保護者の方にクレームつけられるのが?想像するだけでお腹痛くなるし電話できたらしたくない。はあーと一呼吸して電話をする。まずはお子さんの様子を聞く、それから謝る・・・。

ママはすぐに電話に出た。クラスが連続していたところすみません、と。ここからだ、多分言われるのは・・・と自然も体も防御体制なのか固くなっていると「先に伝えておくとコーチに何か言ったり、何か変えて欲しい、とかそういうつもりはないんです。」とママ。ん?どういうことだろう、娘さんを傷つけてしまい、怒っているのは・・・。
「あのあと最後まで話を聞いて、今はだいぶ落ち着きました。プールに行きたくない気持ちは、半分くらいになったようです。娘がお母さんからコーチに伝えて!と言ったことが3つありまして。それをちゃんと伝えたし、コーチも聞いてくれたよという姿を見せるためにできたら直接がよかっただけなのです。」

まりちゃんが私に伝えたかった3つは(少し内容変えています)①蹴伸びの蹴り出しの時、鼻に水が入って怖かった②コーチに一人でやってと言われた時何度かやったのでその時も水が鼻に入り怖かった③コーチに投げられて怖かった(最後)。そしてそれをお母さんからちゃんと伝えて欲しい、と本人が言ったそうなのだった。確かに、今日はいつもよりも私もまりちゃんに「出だし準備が遅いよ!」と注意する場面が数回あったし。自分自身も生徒数が多く少し余裕がなくなっていた。②についてはまりちゃんにお手本をしてもらおうとしたが、私の言い方がわかりにくかったためか戸惑わせてしまった。

「いつも楽しかったプールが今日はいろんなことが重なり、最後にコーチに遊びでさせられたことがトドメになったみたいですが、娘はいつも楽しくプールに通っているし、女のコーチ(私)がいると楽しいと言っていたし、これまでのそれは変わらない事実だと思います。今後も変わらず接して欲しいです。」

こんな人にならないとなあ

電話が終わったあとは、清々しい気持ちで電話前とはまるで逆だった。怒っていなかったよかったーなんて単純な安堵ではなく(それも少しあるけど)。まりちゃんママの素晴らしいところは思い込みや決めつけをせず、人の話を最後まで聞いたところだ。まして娘となれば、大抵の保護者さんは「うちの子に何しくれたの!」と責めまくるか「あー全然気にしてないですからーうちの子がすみませんね。」とどちらかが多いと感じる。まりちゃんママは、きっと心配だっただろうし、何かこちらに言いたい気持ちもあったかもしれないのに、その自分の思考だけで行動せず、最後まで娘の話を聞き、これまでの様子も加味して私を責めることなく、娘の要望にも応えた。なんと素晴らしいかな。こういう方がいるということが知られたのと、自分が励まされたからか、受話器を握りながら涙が出てきた。娘の立場を考えながらも私に自信もつけてくれるなんて。
深切で真説。こういう母親になりたいな、と素直に思った。

翌週、まりちゃんはちゃんとクラスに来てくれた。私は誠意込めて謝り、まりちゃんとママに大事なことに気づかせてくれて感謝していることを伝えた。まりちゃんは小さく頷いて、ちょっと微笑んだというかはにかんだように見えた。

気づくコーチが信頼関係を築く

母親以前に私はコーチなので、コーチとしての反省を述べると、生徒数が多かったり、プールは顔が濡れていたりゴーグルしていたり表情が読みにくかったり、だとしても、子ども一人ひとりの様子を見て気づく、ようにせねばと思う。しんせつなヨガでも散々言っているけれど、人のことに気づくためには自分に気づかねば始まらない。自分に余裕がないこと、自分の状況に自覚無くただ焦って進めていては、コーチングが深まらないどころか、逆に今回のように人を傷つける恐れがある。一呼吸おく、3秒だけ目を瞑る(場合によりアブナイ)とか自分なりのアイテムやアンカーを用いると切り替えやすいかもしれない。

以前コーチとティーチの違いについて記事を書いたことがあるけど、コーチングは一言で言えば「運び」。一方的なティーチと違い、双方向に学びを運ぶのがコーチだ。私はこれからも、生徒さんに、子どもにたくさん教わりたいし、教わったことを「みうらとしる」目線で返していきたい。
コーチングにっぽんいちをめざすぞ。

𓀞𓀟𓀠𓀡しんせつスタジオ𓀢𓀣𓀤𓀥
みうらとしる三浦桃実(TOSHIL/도실)

投稿者プロフィール

三浦桃実
三浦桃実
看護師、ダンスファシリテーター、ヨガファシリテーター、シネマトグラファー。しんせつスタジオ代表。神奈川総合高校にて創作ダンスに出会い、神奈川県立保健福祉大学にて親切ダンスカンパニーを設立。様々な領域や枠を越えたメンバーで、地域に繰り出し踊ってきた。ダンスを言語として捉え、自分の思いを自然な動きで伝えるダンスのスタイルを編んでいる最中。ヨガ指導資格をリブウェルインスティテュートにて取得し、Bowspringや親子ヨガ、スタイルアップヨガなど、毎回哲学的なテーマを織り込んだオリジナルのクラスを提供する。ダンスもヨガも、ユーザー(参加者)と作り上げるスタイルが定評。またシネマトグラファーとして、依頼主の作りたい世界観を築き創るコンセプトで動画制作を行っている。
ユーザーさんたちが、自分が昨日よりちょっとかっこよくなっていることに気づいてもらえるように、スキルを活かして日々邁進中。モットーは「地球規模で考え、地元で行動」「しんせつなひと」
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看護師、保健師、RYT(全米ヨガアライアンス)500、メディテーション(瞑想)講師、JCDN主催コミュニティダンスファシリテーター養成講座修了生